『死神の精度』・本
死神の精度 伊坂幸太郎 文藝春秋 (2005年6月)
275ページ
死神の千葉は、ある人間が“死”を実行するのに適しているかを調査し、その判断を報告するのが仕事。その人間に“死”が実行される1週間前から相手に接触して話を聞き、「可」もしくは「見送り」と報告する。しかし、よほどのことがない限り、この報告は「可」となる。千葉が仕事をする時はいつも雨。今作は儀式的な調査にもかかわらず、 真面目に仕事をこなすそんな千葉が出会った6人の人間模様を描いた連作短編集。 収録作品「死神の精度」「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「旅路を死神」「死神対老女」。
推理小説って探偵モノばかりじゃないのね。この本に収録されている
タイトルと同じ「死神の精度」は第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞
したらしいけど、なるほど、意外なラストが待っているモノは推理モノになるのか。
この本は人に紹介されて読んでみたのだけれど、死神・千葉のキャラが面白い。
本人(?)は至って真面目だから余計に可笑しいのよね。
当たり前すぎて疑問に感じたコトもないようなコトに疑問を感じ
逆に人間が持つ感覚が備わっていない死神だからこそ、無関心なトコがあるのにも
また笑える。人間について全く興味がないのかと思いきや
意外とちょっとしたコトにもすぐ質問して説明を求めるトコなんかは
まるで探究心旺盛な子供のよう。でも、常に冷静で何事にも動じない。
紹介してくれた人が言っていたのだけれど、ちょうどサントリー BOSSのCMで
トミー・リー・ジョーンズが演じている宇宙人のようなとぼけたキャラ。
ミュージック大好きなのにカラオケ嫌い。何かにつけ人間というモノに対して
理解できない部分を冷静に突っこむトコまで似てる!
でも、この死神が思ってるコトって作者の伊坂幸太郎が考えたコトなんだよね。
そう考えると、この伊坂幸太郎が面白く感じてくる。
死期の迫った人を調査して、その人間が死んでも問題ないかを報告する死神。
その判断に優しさや同情は一切ない。人間味は全くないはずなのに
それでもやっぱりどこか親しみを感じてしまう。不思議なキャラだ。
今回は6人の調査を見たけれど、もっと見てみたい。続編はないのかな。
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