カテゴリー「書籍・雑誌」の31件の記事

2007年5月 7日 (月)

『ドラゴンライダー1 エラゴン 遺志を継ぐ者』・本

ドラゴンライダー1 エラゴン 遺志を継ぐ者 クリストファー・パオリーニ
〔訳〕大嶌双恵
     ソニー・マガジンズ (2004年4月)     645ページ

エラゴン 遺志を継ぐ者―ドラゴンライダー〈1〉

映画を観た後、原作はもっと深い内容に違いないと思って、図書館に予約した。

その時、文庫本より単行本の方が予約数が少なくて単純に早く回ってくると

思ったので、迷わず単行本を予約したらビックリ!厚さが4cm以上もある

辞書みたいな本を渡された!電車の中で気軽に読める大きさでもないし

だからと言ってなかなか家でじっくり読む気にもなれず、かなり辛かったけど

なんとか仕事が始まる前に読み終えるコトができた。読破して最初の感想は

映画と全然違うじゃん!確かに大筋は映画と同じだし、そもそもすでに

映画を観たのが4ヶ月近く前のコトだから、映画の記憶が薄れつつあって

正確に内容を覚えてるワケじゃないんだけど、それでも記憶にあるものとは違う…。

映画でブロムがやけに速くエラゴンに追い着いたのも、上映時間内に

収めなくちゃいけなくて、無理矢理設定を変えた結果だったのかもしれない。

だって原作だとエラゴンはアーリアを救いに行く前にマータグと旅するコトになったし

アーリアを救う前にブロムは死んでしまった。それにヴァーデン軍の基地に入るまでは

エラゴンの辛く厳しい修行と逃亡の旅がきちんと描かれているし

ファーザン・ドゥアーに入った後も帝国軍と戦う前にいくつかエピソードがあった。

映画ほど急に帝国軍がヴァーデン軍に攻め入って来るコトはなかった。

これが本と映画の違いなのよね。原作を頑張って読んだ甲斐があった。

さて続きが気になるけど、映画の続編はいつになるか分からないから、今度はちゃんと

文庫本で『ドラゴンライダー2 エルデスト 宿命の赤き翼』を借りて

内容を予習しておこうかな。

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2007年4月 3日 (火)

『Presents』・本

Presents 角田光代 [絵]松尾たいこ
双葉社 (2005年11月)                        209ページ

Presents

人生には、大切なプレゼントがたくさんある。生まれてから死ぬまでにもらったたくさんのプレゼントにまつわる12個の物語を集めた短編集。
収録作品「名前」「ランドセル」「初キス」「鍋セット」「うに煎餅」「合い鍵」「ヴェール」「記憶」「絵」「料理」「ぬいぐるみ」「涙」。

収録作品のうち、「合い鍵」「うに煎餅」が映画化されていて

結局映画は観に行けてないのだけれど、ストーリーが気になったので

図書館で原作を借りてきた。短編集だからそれぞれあっという間に読めてしまい

電車の中でちょっと時間をつぶすのに、ちょうどいい長さ。ただ、どの物語も

読んでいくうちに涙があふれそうになり、ごまかすのが大変だった。

それぞれのお話に出てくる登場人物はきっと全部違う人物なのだろうけど

生まれて初めてもらうプレゼント「名前」から始まって

人生最後のプレゼント「涙」に至るまで物語は順に人生をたどっている。

どれもすごくいいお話で、いろいろ気付かせてくれる。特に私が好きなのは

「ランドセル」「合い鍵」「ヴェール」「記憶」「絵」「料理」「ぬいぐるみ」って

挙げたら結局半分以上になっちゃった…。でも、やっぱり「ランドセル」が一番かな。

人生に目標が見出せなくなった時、ふと立ち止まって過去を振り返るのは決して後ろ向きな行動ではない。それまで自分が何を大切にしてきたのか、何を経験してきたのか、そこから何を学んで、何を得たのか…。自分には何もないと思っていても、歳を重ねた分だけ得たものは必ずある。じっくり過去を見つめ直すコトで、ほんの小さなコトでも今まで気付かなかった自分自身の本質が見えてくるかもしれない。そのきっかけは小さい頃の思い出の品だったり、古い友達との会話だったり、忘れ去られた記憶だったりといろいろあるだろうけど、結局は誰かのプレゼント。すでに私も抱えきれないほどもらっている贈り物。それらの存在をこれからも忘れずに大切にしていきたいと思った。

最近自分を振り返る機会があっただけに、「ランドセル」はタイムリーに

私の心に染みた物語だった。オススメの本だ!

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2007年3月10日 (土)

『天使と悪魔(上)(中)(下)』・本

天使と悪魔(上)(中)(下) ダン・ブラウン 〔訳〕越前敏弥    角川文庫
(2006年6月)     (上)331ページ (中)317ページ (下)333ページ

天使と悪魔 (上) 天使と悪魔 (中) 天使と悪魔 (下)

ハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所長から電話を受け、ある紋章についての説明を求められる。それは十七世紀にガリレオが創設した科学者たちの秘密結社“イルミナティ”の伝説の紋章だった。紋章は男の死体の胸に焼印として押されていたのだという。殺された男は、最近極秘のうちに大量反物質の生成に成功した科学者だった。反物質はすでに殺人者に盗まれ、密かにヴァチカンに持ち込まれていた――。  ――上巻裏表紙より――

折しもヴァチカンは新ローマ教皇選挙会の当日。だが、次期教皇候補四人が揃って失踪していた。そこへイルミナティを名乗る人物から電話がかかる。かつて科学者を迫害した教会への復讐のため、教皇候補を一時間に一人ずつ殺していくというのだ。殺人はどこで行われるのか。反物質の隠し場所は。その鍵が十七世紀に書かれた詩に隠されていることに気付いたラングドンは、知力と体力を尽くして、殺人ゲームに挑むが――。
――中巻裏表紙より――

ラングドンの懸命の努力も虚しく、教皇候補たちはイルミナティを名乗るテロリストの犠牲となりつつあった。反物質の行方も依然として不明。さらにテロリストの魔の手は、殺害された科学者の娘ヴィットリアにまで迫ろうとしていた。果たしてラングドンに勝機はあるのか――。ついに明らかになるイルミナティの真の目的と、その首謀者。宗教と科学の対立を壮大なスケールで描くタイムリミット・サスペンス、衝撃の結末!!
――下巻裏表紙より――

面白かったぁ!『ダ・ヴィンチ・コード』よりも面白かったかも。

まあ、『ダ・ヴィンチ・コード』は本を読む前に映画を観たから

大まかな内容をあらかじめ知っちゃって、種明かしに驚きがなかったっていうのは

あるかもしれないけど。今作も『ダ・ヴィンチ・コード』に引続き

トム・ハンクスをラングドン役にして映画化が決定したというコトで

映画を観る前に原作を読んではいけないと分かっていたものの

図書館で借りてきてしまった。やっぱり伏線の引き方が上手い!

しかも、あらゆるところに縦横無尽に敷き詰められている感じで

思わず唸りそうになる。上巻は電車の中でしか読んでいなかったのだけれど

中巻に入ってからは家で一気に読み進めてしまった。先が気になって気になって…。

パターンは『ダ・ヴィンチ・コード』と一緒で、文庫本3巻にまたがっている

にもかかわらず、たった1日の出来事。濃い1日だわぁ

でもタイムリミットがあるから悠長に謎解きなんてしていられない。

このスピード感とか焦燥感とかにどっぷり引き込まれちゃうのよね。

読み終わった時はかなり疲れたけど、充実した達成感みたいなものは味わえた。

ところで、パスポートなしにスイスまでは渡航の許可が下りていたとしても

その後ヴァチカンにまで飛んで行っちゃって、ラングドンはどうやって

アメリカに帰ったのかしら?

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2007年2月 9日 (金)

『死神の精度』・本

死神の精度 伊坂幸太郎              文藝春秋 (2005年6月)
275ページ

死神の精度

死神の千葉は、ある人間が“死”を実行するのに適しているかを調査し、その判断を報告するのが仕事。その人間に“死”が実行される1週間前から相手に接触して話を聞き、「可」もしくは「見送り」と報告する。しかし、よほどのことがない限り、この報告は「可」となる。千葉が仕事をする時はいつも雨。今作は儀式的な調査にもかかわらず、 真面目に仕事をこなすそんな千葉が出会った6人の人間模様を描いた連作短編集。  収録作品「死神の精度」「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「旅路を死神」「死神対老女」。

推理小説って探偵モノばかりじゃないのね。この本に収録されている

タイトルと同じ「死神の精度」は第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞

したらしいけど、なるほど、意外なラストが待っているモノは推理モノになるのか。

この本は人に紹介されて読んでみたのだけれど、死神・千葉のキャラが面白い。

本人(?)は至って真面目だから余計に可笑しいのよね。

当たり前すぎて疑問に感じたコトもないようなコトに疑問を感じ

逆に人間が持つ感覚が備わっていない死神だからこそ、無関心なトコがあるのにも

また笑える。人間について全く興味がないのかと思いきや

意外とちょっとしたコトにもすぐ質問して説明を求めるトコなんかは

まるで探究心旺盛な子供のよう。でも、常に冷静で何事にも動じない。

紹介してくれた人が言っていたのだけれど、ちょうどサントリー BOSSのCM

トミー・リー・ジョーンズが演じている宇宙人のようなとぼけたキャラ。

ミュージック大好きなのにカラオケ嫌い。何かにつけ人間というモノに対して

理解できない部分を冷静に突っこむトコまで似てる!

でも、この死神が思ってるコトって作者の伊坂幸太郎が考えたコトなんだよね。

そう考えると、この伊坂幸太郎が面白く感じてくる。

死期の迫った人を調査して、その人間が死んでも問題ないかを報告する死神。

その判断に優しさや同情は一切ない。人間味は全くないはずなのに

それでもやっぱりどこか親しみを感じてしまう。不思議なキャラだ。

今回は6人の調査を見たけれど、もっと見てみたい。続編はないのかな。

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2007年1月25日 (木)

『きみにしか聞こえない -CALLING YOU-』・本

きみにしか聞こえない -CALLING YOU- 乙一
角川スニーカー文庫 (2001年6月)                 201ページ

きみにしか聞こえない―CALLING YOU

私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった……。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる“切なさの達人”乙一。表題作のほか、2編を収録した珠玉の短編集。  ――裏表紙より――

随分若いコ向けの本を読んでしまった。

『暗いところで待ち合わせ』を読んで、乙一作品を他にも読んでみようと検索したら

以前にどこかで紹介されていた今作をみつけたので、何も考えずに図書館に予約したら

“スニーカー文庫”っておもいっきり10代向けじゃない!

収録されている「Calling You」「傷-KIZ/KIDS-」「華歌」

どれもメルヘンなんだけど、すごく重い影があって

10代をお気楽に過ごした私はイマイチどの作品にも感情移入できなかった。

ただ、3つ目の「華歌」のラストにはまんまと騙された!すっかり勘違いしていた。

なんでそんな勘違いをしてしまったのか思わず最初から読み直してしまったほど。

いやー、人の思い込みって恐いわ。読み直してみると、登場人物は3人称でなく

ちゃんと全て固有名詞で書かれているし、挿絵も間違ってはいないから

当然考えられるコトだったんだけど…。

冒頭の「…その少女を愛することになる…」って文章から

全ての勘違いは始まっていたのね。

そして間違ってはいないけど、まぎらわしい挿絵にすっかり騙された。

なかなか侮れん、乙一。

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2007年1月19日 (金)

『町長選挙』・本

町長選挙 奥田英朗                 文藝春秋 (2006年4月)
258ページ

町長選挙

『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』に続く破天荒な神経科医、

伊良部一郎シリーズの第3弾。やっと図書館の予約の順番が回ってきた。

今回は「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」「町長選挙」の4つの事例。

プロ野球人気球団“東京グレート・パワーズ”のオーナー、ナベマンこと田辺満雄に

プロ野球界への参入で話題になり、その後民放ラジオ局の買収騒動で         注目を集めているIT長者のアンポンマンこと安保貴明、

そして東京歌劇団出身で、家庭も仕事も上手に両立し、40代の年齢にしては    若々しいことで人気絶頂の女優、白木カオル

と、今回はモデルになった実在の人物がすごく分かりやすい。

だから、どうしてもその人物を思い浮かべながら読み進めてしまう。

そしてどの人も地位や名誉が確立した人たちばかり。

そのせいか、今回私には全く共感できる部分がなく、イマイチ楽しめなかった。

…とは言うものの、「オーナー」のラストはジーンとしたし

最後の「町長選挙」はモデルなんているはずないほどハチャメチャで笑えた!

もし次回作があるのなら、そろそろ伊良部先生のお父さんとお母さんを見てみたい。

こんな人間を育て上げた両親とは一体どんな人物なのだろう?

気になるところだ。

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2007年1月 6日 (土)

『暗いところで待ち合わせ』・本

暗いところで待ち合わせ 乙一        幻冬舎文庫 (2002年4月)
262ページ

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。書き下ろし小説。――裏表紙より――

題名から、勝手なイメージでホラーだと思い込んでいたのだけれど、全然!

逆にほんわか心温まるイイお話だった。映画観ればよかったなぁ。

アキヒロほど、内側に閉じこもった性格ではないし

それなりに社交的な方ではある私だけれど

なんだかアキヒロの不安な気持ちにすごく共感できて

読んでいて苦しくなる部分もあった。どうすればアキヒロが捕まらずに

このやっと手に入れた安らかな場所で落ち着くコトができるのだろう、

できれば結末はハッピーエンドになってほしい、と願いながら

読み進めて訪れた驚きの結末。そんな秘密があったなんてね。

ドキドキ感もあって面白かった。ところで、登場人物はちょっと暗そうな人なのに

あとがきから連想される乙一さんて、意外と面白い。

他の作品だけじゃなくて、作家さん自身にも興味が湧いた。

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2007年1月 2日 (火)

『地下鉄(メトロ)に乗って』・本

地下鉄(メトロ)に乗って 浅田次郎     講談社文庫 (1999年12月)
313ページ

地下鉄(メトロ)に乗って

永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため……。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。  ――裏表紙より――

映画の『地下鉄(メトロ)に乗って』を観た後に

映画ではトラックに飛び込んで亡くなったお兄さんが

原作では本当は地下鉄に飛び込んで自殺していたコトを知って

話が全然違うなら原作も読まなければと、図書館に予約して借りてきた。

でも、自殺した場所とか戦後に真次がアムールと手を組んでやった闇取り引きとかが

違うくらいでそんなには話の流れに違いはなかった。って当たり前か。

だから、ラストは知っていたし、改めて原作を読んで涙を流してしまうコトもなかった。

まあ、読んだおかげで映画を観たときの疑問は解決されたんだけど。

まず主人公の真次の年齢。真次は本の中で自分の年齢を43歳と言っている。

次にみち子の年齢。みち子は真次の兄の昭一が自殺した30年前に生まれたから

真次とは13歳差で30歳。そして、ココに出てくる現代が何年なのか。

昭一の自殺した30年前は東京オリンピックのあった1964年だから

現代は1994年というコトになる!あぁ、スッキリした!

映画で携帯電話が出てきたり、「営団地下鉄」が「東京メトロ」になってたりするから

混乱しちゃったのよね。細かいコトなんだけど、目についちゃったのだから仕方がない。

それと本を読んで新たな発見があった!映画を観た時に高校の野平先生の

必要性がよく分からなかったのだけれど、この先生って満州の戦場にもいたんだ!

映画にもそのシーンがあったはずなのに、全然気付かなかったよ…。

そうだったのか。なんだかもう一度、映画を確かめたくなった。

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2006年12月15日 (金)

『空中ブランコ』・本

空中ブランコ 奥田英朗               文藝春秋 (2004年4月)
265ページ

空中ブランコ

伊良部総合病院地下にある神経科では、まるで5歳児のように自由奔放な振る舞いをする医学博士・伊良部一郎とミニスカートで胸の大きく開いた制服を着た無愛想な看護婦・マユミがいつも患者を迎える。今回の患者は、空中ブランコが飛べなくなったサーカス団員、尖端恐怖症のヤクザ、強迫神経症の精神科医、スローイング・イップスのプロ野球選手、嘔吐症の売れっ子恋愛小説家。今回も奇抜な治療(?)で患者の心を癒していく…。

『イン・ザ・プール』の続編だけど、つながりはないから単品でも楽しめる。

以前にテレビドラマでやった時は、この中の“空中ブランコ”“ハリネズミ”

患者さんが出ていた。個人的には“義父のヅラ”も映像で観てみたかったな。

前作の『イン・ザ・プール』と比べて、私は断然こっちの『空中ブランコ』の方が好き。

今回の患者さんは共感できる部分が結構あったのよね。

特に“空中ブランコ”のサーカス団員・山下公平には、すごく頷くけてしまった!

中学の時から何かしら部活に入って、学校生活がずっと部活三昧だった私は、休みの日とか放課後とか関係なく、ほぼ毎日のように顔を合わせて生活パターンが自分と同じヒトとばかりいつも一緒にいた。だから、狭く深く付き合うコトが当たり前になりすぎて、広く浅く付き合うコトに慣れていない。親しかった相手ともしばらく会っていなくて共通の話題が減ってしまうと、寂しさを感じて、そんな想いをしたくないから、つい距離を置いてしまう。だから社会に出て、一番長く一緒にいるはずの同じ職場のヒトが、仕事が終わると同時に全く違う世界のヒトになってしまうコトにも寂しさを感じて、やっぱり必要以上に距離を置いて、程よい距離感を保てずにいる。寂しいから、逆にバリアを作っちゃう公平の気持ち、すごく共感できた。

やっぱり伊良部の性格、羨ましいわぁ。

誰とでも仲良くなれちゃって、その人がその場にいるコトが普通、

逆にいないと少し寂しい気分にもさせちゃうような人間て憧れるわ。

そうそういつも無愛想なマユミにも、今回はちょっぴり泣かされた。

“女流作家”のところで最後にマユミがした行動がすごく可愛らしくて

なんだか一気にファンになってしまった。

マユミの独りでも全然気にならないってトコには共感できないけど

逆にそんなマユミだから、照れながらも素直な感想を伝えた姿に

すごく好感が持てて、気持ちが楽になり、思わずうるうるしてしまった。

次は『町長選挙』。図書館に予約したのは7月なのだけれど

そろそろ順番回ってくるかしら?

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2006年12月13日 (水)

『きみを想う瞬間(とき)』・本

きみを想う瞬間(とき) ジャクリーン・ミチャード=著 田栗美奈子=訳
主婦の友社
 (2006年11月)                     155ページ

きみを想う瞬間

きみを失うなんて考えたこともなかった。
子供たちと一緒になって逆立ちや宙返りをするきみ。
いつかふたりでパリに旅行しようと楽しそうに語っていたきみ。
そんなきみが脳出血で12時間後に亡くなるなんて、
突然言われても信じられるだろうか。
最後のクリスマス・イブ、ぼくがきみに何を伝えればよいのだろう。
そして、最後に遺されたきみからのプレゼントとは…。
――カバーの袖より――

たぶん何かのフリーペーパーで紹介されていたのを見て

図書館に予約したんだと思うんだけど、どこで紹介されていたのか忘れてしまった。

クリスマスなのに悲しいお別れの話。

てっきり泣ける本だと思っていたのに、泣けなかった…。

経験したコトのないコトだから、イマイチ共感できなくてね。

もっとこの夫婦の幸せな頃が細かく描かれていたら

入り込みやすかったのかもしれないけど、それもなかったし。

厚さ1cmもない薄い本なのに、なかなか読み進める気が起こらなくて

途中何度も眠くなりながら、意外と読み終えるのに時間がかかってしまった。

もし今、自分が余命12時間と宣告されたらどうするだろう?

今だったら思い残すコトも特にないから、静かにその時を待つかな。

こんな考えだから、ローラの最期に共感できなかったんだわ、きっと。

あの人にもこの人にもといろんな人に伝えたいメッセージがあって

一番愛していたはずのエリオットとゆっくり話せずに亡くなってしまった感じのローラ。

私なら自分が死んだ後のコトなんてきっと考えずに

その時一番大切な人、一人と最期までずっと一緒にいたいと考えるだろうに。

何だかローラは誰に対しても中途半端にお別れをした印象を受けてしまって

どうもローラの気持ちが理解できなかった。

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